JingDong(京東)はAI分野で大規模なオープンソース戦略を打ち出した。中心となるのは、企業向けに提供するJoyAgent 3.0だ。従来の対話性能に加え、DataAgentとDCPデータガバナンスモジュールを公開し、自然言語でのデータ分析や診断が可能になった。これにより、企業が抱える「データの最後の一マイル」問題に実用的な解決策を提示している。
もう一つの柱は、多エージェント開発を容易にするOxyGentだ。純粋なPython構造で、モデルやツールを「原子コンポーネント」として組み立てられる仕組みを提供し、GAIA評価でも高得点を記録した。
医療分野では、京医千尋2.0が公開された。これはテキストや画像、検査データを統合解析できる多モーダル医療大モデルで、循証医学に基づいた推論により、臨床現場での実用性を高めた。
基盤技術も一斉に公開された。中国製半導体向けに最適化したxLLM推論フレームは、JingDong(京東)の小売業務で推論効率を5倍、コストを90%削減した実績を持つ。また、AIの安全性を確保するJoySafetyは、入力から出力まで全工程を防御し、悪意ある攻撃成功率を大幅に低減する。
さらに、VearchベクトルDBやTaroクロスプラットフォーム開発基盤など既存のオープンソース群も加え、フルスタックでのエコシステムを形成。JingDong(京東)は自社で磨いたAI技術を「公共基盤」として公開し、開発者と企業の採用ハードルを下げることで、標準化とエコシステム拡大を狙う姿勢を明確にした。