量子位シンクタンク(Qbit Think Tank)がListenHub創業者・橘子(Juzi)に行ったロングインタビューは、AIポッドキャストの次段階を示す。ListenHubは「創作者のAI代弁者」を掲げ、情報取得・内容整理・口語化から成る三層構造のエージェント設計を採用。幻覚を抑えた事実性と内容の漏れを防ぐ完整性を優先し、その上で自然な対話らしさ=臨場感を付与する。
差別化の核となるFlowSpeechは、従来のTTSが抱える「書き言葉読み上げの不自然さ」を回避するために、まず書き言葉を口語へ変換してから音声化する。単人/双人モードや多彩な音色、プロ会員向けの音色カスタムを備え、ニュース解説や有声読物、教育用途まで射程を広げる。逐字編集の容易さと数値の正確性が評価され、財務資料を扱う解説でも“原文忠実”を打ち出す。
開発方針はMVP先行。最初の10〜100名の有料ユーザーからの要望を機能改善へ直結させ、優先度は「有料化に寄与するか」で判断する。AI時代の指標は滞在時間ではなく課題解決と支払いに重心があり、初回生成で生まれるAha Momentに到達させる導線が鍵となる。
次の一手としてListenHubは音声Agent時代を見据える。人の情報受信は動画が効率的で、出力は音声が自然という前提に立ち、「動画受信×音声出力」を中核HCIと位置づける。軽量多モーダルの即時性と、非リアルタイムの高知能生成を用途別に使い分け、創作者データと運用ノウハウの蓄積を飛輪として拡大を狙う。