SenseTime(商湯科技)から2024年末に分離独立したGPU企業「曦望Sunrise」が、新たに約10億元(約220億円)の資金調達を完了した。出資には、三一グループ傘下の華胥基金、第四范式、游族ネットワーク、北京利爾、松禾キャピタル、海通開元などが名を連ねる。
曦望は「AIに強い国産GPU」を掲げ、製品開発に注力するスタートアップで、コアコンセプトは「用得起(手頃な価格)」と「用得上(実用的)」。製品ラインはS1(クラウド・エッジ向け推論チップ)、S2(大規模モデル推論用GPGPU)、S3(マルチモーダル推論用、現在開発中)の3種類で構成される。
特に注目されるS2は、NVIDIAのA100に匹敵する性能を持ちつつ、CUDA互換のエコシステムに対応し、指令系統やIP、ツールチェーンまで全て自社開発。既に量産段階にあり、AIインフラ分野での国産代替における大きな一歩とされる。
経営陣には、百度創業初期メンバーで「鳳巣の父」と呼ばれる王湛氏と、AMDおよび昆崙芯を経た王勇氏が共同CEOとして就任。チームはわずか150人規模ながら、これまでにS1とS2を一発流片で完成させる成果を上げている。
今後は、2026年をめどにS3の量産を目指し、推論計算のコストを現行の1/10に削減、「1推論=1分(1フェン)時代」の到来を掲げている。