アントグループはAI健康アプリ「AQ(Ant Health)」を正式リリースした。目的は、診療の煩雑さを軽減し、誰もが信頼できる“健康管家”を持てるようにすることだ。「AQ」は健康に関する初歩的な知識提供から、症状相談、診断結果の読解、健康データの記録管理まで、100種以上のAI機能を搭載。加えて、全国5,000を超える病院、約100万人の医師、200名近い名医の「AI分身」とも連携しており、病院選びや問診の最適化にも活用できる。
診療相談では、ユーザーの説明不足を補うため、AQがリアル医師のように追加質問を繰り返し、症状情報を導き出す。また、皮膚の疾患など視覚情報が必要なケースでは、写真を用いたAI識別が可能で、50種以上の皮膚疾患を即時に判別できる。高齢者向けには音声通話による対応機能も搭載されている。
バックエンドには、アントが開発した医療分野に特化した大規模AIモデルがあり、1兆以上のトークンを学習。マルチモーダル対応で画像・音声・動画を含む情報を処理可能で、HealthBenchやMedBenchなどのベンチマークで高評価を獲得している。さらに中国信通院の医療AI安全認証でも最高ランクを取得済みだ。
特筆すべきは、全国の著名医師がAQのAI分身トレーナーとして参加している点である。たとえば、杭州市第七人民医院の副院長である毛洪京医師は、自身の診療データと5万件超の医療資料を元にAI分身を構築し、かつては月600人の診療だったのが、今や1日11万人への対応が可能となっている。
今後もアントグループは、医療機関や健康機器企業と連携しながら、より多くの人に届く普及型医療サービスを目指していくと表明している。