バイトダンス(字節跳動)は、同社が展開する言語AIモデル「Seed」プロジェクトの責任者である喬木(Qiao Mu)を、社内規定違反を理由に即時解雇した。問題となったのは、同プロジェクトの人事担当者(HRBP)との未申告の親密関係で、これは「利益相反行為」として社内規定で明確に禁止されている。
2024年3月27日、社内SNS「Lark(飛書)」で匿名の告発が拡散し、これを受けてバイトダンスは内部調査を開始。調査の過程で、喬木とHRBPの両名は複数回の聞き取りにもかかわらず関係を否定し、虚偽の説明を繰り返していた。会社はこの隠蔽行為を重く見て、2人を即時解雇し、年末賞与を全額没収した。
喬木は西安交通大学卒。2012年にバイドゥに入社し、2014年にバイトダンスへ移籍後、検索技術部門で中核を担い、2023年には「Seed」プロジェクトの責任者に就任。年収は1,000万元(約2億円)以上とされ、さらに初期に付与されたストックオプションは、価格上昇により数千万元(約10億円以上)の価値になっていたと推測される。
喬木は11年間在籍し続けており、その間に昇格や新規オプションの付与も受けていたと見られることから、社内では「累計報酬は5億元(約110億円)を超える」との見方もある。だが今回の懲戒処分により、その多くが失効となり、長年のキャリアと報酬は事実上すべて失われた。