テンセントは、5月21日のテンセントクラウドAI産業応用サミットにて、企業向け大規模言語モデル基盤を「AIエージェント開発プラットフォーム」へ刷新したと発表した。これは、バイトダンスの「Coze」に正面から対抗する動きであり、企業向けエージェント市場における覇権争いが本格化していることを示す。
新たなプラットフォームでは、ユーザーが使用する大規模言語モデルの選択、知識ベースやワークフローの構築、独自プラグインの導入、MCPとの統合など、柔軟性の高い開発が可能となる。テンセント独自の「原子機能(アトミック・ファンクション)」により、開発者はAPI形式で各種機能を活用し、自社のニーズに合ったアプリを構築できる。
この刷新の背景には、DeepRoute.ai(元戎啓行)、BMW、東風汽車、一汽奔騰といった既存顧客がバイトダンスの火山引擎(Volcano Engine)へ移行し、豆包(Doubao)モデルを活用した人車インタラクションなどの分野で協業を進めている現実がある。
テンセントは企業向け領域の巻き返しを狙い、タスク分解、ツール選択、自律的タスク処理を可能とする高度なAIエージェントの開発支援に注力。また、コンシューマー向け「ima」に続いて法人向けの「テンセント楽享企業AI知識庫」も新たに発表し、社内知識のAI活用を促進している。
テンセントとバイトダンスという中国の二大テック企業が、膨大なユーザーベースと技術基盤を武器に、企業向けAIエージェント市場で激しい競争を繰り広げている。