テンセント、秦朝の都「咸陽」をAIで再構築──開発効率37倍向上

出典:https://mp.weixin.qq.com/s/WbLrANcSQr1XgLHBm6dcZQ

秦朝都市咸陽の再現イメージ
概要ポイント
  • GDC 2025でテンセントが秦朝都市「咸陽」のプログラマティック再現を発表。
  • 独自PCGツール群により開発効率を37倍に改善(336人月→9人月)。
  • Unreal Engine、Houdini、USDを連携したフルクラウド開発環境を構築。
  • 建築・NPC・農地まで自動生成、秦代「闾里」制度も忠実に再現。
  • Flowフレームワークにより視覚編集と高精度な再現性を両立。
本文

テンセントはGDC 2025にて、秦の都・咸陽を仮想空間上に再構築したプロジェクトを発表した。中国古代都市の複雑な地形や建築様式に対応するため、Unreal EngineとHoudiniを連携させた独自PCGフレームワーク「Flow」を開発。クラウドベースの分散計算とUSDによるデータ変換により、作業効率を従来比37倍に向上させた。


都市全体は秦代の「閭里」制度を基にゾーニングされ、平民区・富裕層エリア・官庁・皇宮といった多階層の構造を持つ。建築物の生成には建築語法と呼ばれる構文体系を導入し、屋根構造や壁面パターンをプログラマティックに定義。庭園、NPC、農地の配置もPCGで制御される。


特にPOI(重要地点)については、独自ツール群を通じてローカル編集が可能。Unreal Engine上で視覚的に編集できるため、美術チームは創造性を損なうことなく高効率に構築作業を行える。USDによる高拡張・高性能なデータ管理がそれを支えており、ゲーム開発以外にも応用が期待される。


テンセントは今回の事例を通じて、古代都市のプログラマティック再現という極めて複雑な課題を乗り越えた。都市生成・環境構築の新たな標準として、今後の仮想空間構築やゲーム開発に与える影響は大きい。