NVIDIAチップが引き起こした中国AI計算資源バブル、崩壊寸前──H200争奪戦と供給のミスマッチ

出典:https://mp.weixin.qq.com/s/pnit5bMR_vpCsEqSnmgOmw

NVIDIA
概要ポイント
  • H200の供給が限定され、中国国内では熾烈な争奪戦が展開。
  • DeepSeekの登場で大規模AIモデル訓練需要が激減し、バブル崩壊の兆し。
  • 多くのAIデータセンターは稼働率50%以下と効率が悪化。
  • 投資と供給を結びつけた“資本連動型”モデルが普及。
  • 推論需要は増加中も、応用エコシステム未整備で需給ミスマッチが顕在化。
本文

米国によるNVIDIA製チップの輸出規制を受け、中国国内では高性能GPUの供給がひっ迫し、H200チップを中心とした激しい争奪戦が展開されている。特にH200は前世代H100比で約30%の性能向上を実現し、限られた供給ルートから一部企業のみが週100台単位で確保している状況だ。


このような需要過多にもかかわらず、建設されたAIデータセンターの多くは稼働率が50%未満。性能差のある旧式チップやソフトウェア・エコシステムの未整備、AI訓練から推論への需要シフトなどが、稼働効率を著しく低下させている。


特に「DeepSeek」の登場以降、訓練用の大量GPUを確保して“モデルを育てる”という従来型戦略が見直され、大規模AI訓練需要そのものが失速。いわゆる「AIモデル乱立」の時代は終焉し、残ったのは大手企業と一部有力スタートアップのみだ。


こうした背景から、GPU提供業者が投資を通じてAIスタートアップの将来需要を囲い込む「資本連動型」モデルが拡大。さらに、応用エコシステムが未整備であるがゆえに、医療や自動運転など業種特化型モデル(L2層)での計算資源活用が進んでいない。


政府による「算力券(計算資源利用補助券)」などの支援策も展開されているが、構造的問題の解決には至っていない。今後は、単なるハード提供にとどまらず、アルゴリズム・データ整備・応用設計まで統合した新型AIインフラ企業の台頭が鍵となる。