米国によるNVIDIA製チップの輸出規制を受け、中国国内では高性能GPUの供給がひっ迫し、H200チップを中心とした激しい争奪戦が展開されている。特にH200は前世代H100比で約30%の性能向上を実現し、限られた供給ルートから一部企業のみが週100台単位で確保している状況だ。
このような需要過多にもかかわらず、建設されたAIデータセンターの多くは稼働率が50%未満。性能差のある旧式チップやソフトウェア・エコシステムの未整備、AI訓練から推論への需要シフトなどが、稼働効率を著しく低下させている。
特に「DeepSeek」の登場以降、訓練用の大量GPUを確保して“モデルを育てる”という従来型戦略が見直され、大規模AI訓練需要そのものが失速。いわゆる「AIモデル乱立」の時代は終焉し、残ったのは大手企業と一部有力スタートアップのみだ。
こうした背景から、GPU提供業者が投資を通じてAIスタートアップの将来需要を囲い込む「資本連動型」モデルが拡大。さらに、応用エコシステムが未整備であるがゆえに、医療や自動運転など業種特化型モデル(L2層)での計算資源活用が進んでいない。
政府による「算力券(計算資源利用補助券)」などの支援策も展開されているが、構造的問題の解決には至っていない。今後は、単なるハード提供にとどまらず、アルゴリズム・データ整備・応用設計まで統合した新型AIインフラ企業の台頭が鍵となる。