テンセントは2025年第1四半期決算で、売上高1800億元(約3兆7800億円)、純利益497億元(約1兆400億円)と堅調な業績を発表した。決算説明会でCEOの馬化騰(Pony Ma)は、WeChatに統合される独自の汎用型AIエージェントの開発を明かした。
テンセントは「Yuanbao(元宝)」や「Ima」などのAIネイティブ製品を通じて、複雑な思考や推論、長文対応、タスク自動化まで可能なAI技術を発展させている。一方、WeChatに特化したAIはソーシャルグラフやミニアプリ、動画・記事プラットフォームと連携し、他のAIとは異なる独自性の高い体験を提供する。
馬化騰は、中国ではAIのサブスクリプションモデルは定着しにくく、広告最適化が商業化の主軸になると指摘。AI機能強化により広告収入は前年比20%増の319億元(約6700億円)に達し、10四半期連続の成長を達成した。
AI投資は加速しており、資本支出は前年比91%増の274.8億元(約5770億円)。研究開発、マーケティング支出、Yuanbao(元宝)の導線強化が中心となっている。また、テンセントは最大規模の新卒採用を発表し、2025年には1万人を採用予定。その6割はAI、クラウド、ゲームエンジン等の技術職に充てられる。
Yuanbao(元宝)はWeChat内の「連絡先」にも追加され、ユーザー導線が強化された。今後、WeChatとYuanbao(元宝)の統合はさらに深まる見通しで、テンセントのAI主導戦略の中核を担う。