米国財務省は、シリコンバレーの著名VCファンドBenchmark Capitalが中国系AIスタートアップManusに対して実施した7500万ドルの出資を調査している。背景には、2023年に発効された「対外投資安全計画」があり、先端技術分野への対中国投資を制限する規制が強化された。
Manusは、自らAIモデルを訓練せず、既存のClaudeやアリババのモデルを利用したアプリケーションを提供する企業(いわゆる“ラッパー型”AI企業)である。運営母体のButterfly Effectはケイマン諸島に登記され、社員は米国、日本、シンガポール、中国に分散し、データも中国国外のクラウドに保存している。
しかし、米国内ではこの投資が中国のAI技術発展を間接的に支援するとの懸念があり、Lux CapitalやFounders Fundの関係者などから公然と批判の声が上がっている。財務省はBenchmarkに対し、今回の出資が新規制の報告義務に該当するかどうかの説明を求めている。
Benchmark側は、Manusが最先端AI技術の育成には関与していないと主張し、複数の米法律事務所の意見に基づき規制対象ではないとの立場を取っているが、財務省による今後の判断が業界全体の先例となる可能性もあり、注目が集まっている。