上海市経済信息化委員会の指導のもと開催された「2025年上海市メタバース新領域成果展」にて、Yuanjing(元境)の副総経理・史敏君氏が登壇。講演では、観光・文化産業における「技術革新・文化自信・感情価値」主導の新たな進化について、空間認識技術と3D AIGC(AIによる3Dコンテンツ生成)を軸としたデジタル変革の方向性が示された。
観光消費の構造変化として、単なる観光から文化深掘り体験への移行、物質的動機から精神的満足への転換、大量供給から個別化されたサービスへの需要が拡大している。Yuanjingはこのトレンドに対応し、観光産業が自然景観依存型からテーマ体験型、さらにテクノロジー駆動型へと進化していることを指摘。VR/AR、AI、メタバースを活用して没入型・双方向型の文化体験を設計し、都市ブランディングやビジネス展開にも貢献している。
同社は四層構造の技術基盤を提供しており、リアルタイム高精細レンダリングが可能な空間認識プラットフォーム、デジタル資産を高速生成する3D AIGC基盤、開発から運営まで対応する開発者ツール、観光・文化・商業など8分野に対応した業界ソリューションを統合。これにより、都市ブランドの若年層への訴求や新たな商業空間の拡張を図っている。
さらに、3D AIGCの導入により、博物館や観光地のデジタルコンテンツを迅速に制作可能。ユーザーによるUGC(一般ユーザー生成コンテンツ)も促進され、プロ・アマ問わず多様なクリエイターがメタバース構築に参画している。
観光向けに特化した3D AIアバターは、案内やカスタマーサポート、SNSマーケティングに活用され、ユーザーとのインタラクションを深めると同時に、運営効率の向上にも寄与する。
Yuanjingはすでに西安博物院での文物の人格化×物語体験、武漢東湖での仮想花見、嵩山でのデジタル収蔵品とゲーム空間の構築など、多数の事例を展開しており、現実と仮想の融合による新たな文化ブランド形成を進めている。
史氏は講演の最後に、今後も自主技術の開発を深化させ、観光・文化機関のデジタル進化を支援し続けると強調した。