バイトダンスは現在、自社開発によるAIスマートグラスの立ち上げを進めている。すでに展開中の大規模言語モデルや人気チャットボット「Doubao(豆包)」など、同社のAI資産を搭載する計画で、実用性の高いデバイスを目指している。
MetaがRay-Banと共同開発したスマートグラスは、AIチャットや撮影機能を備えた製品として市場で成功しており、バイトダンスもこれに倣い、製品機能・仕様・コスト・発売時期などについてサプライチェーンと調整を進めている。
中国市場でもAIハードウェア開発が活況を呈しており、アリババは独自AIによるスマートグラスを開発中。バイドゥも「Xiaodu(小度)」ブランドのAIグラスを今春に発売予定とする。一方で米国では、OpenAIがAIデバイス特化型スタートアップの買収を検討中で、CEOのサム・アルトマンと元AppleのJony Iveのスタジオが開発に関与していると報じられている。
バイトダンスは2021年にVRデバイスメーカーPicoを約13億ドルで買収したが、2023年には販売不振により事業縮小を余儀なくされた。2023年10月に投入したAIイヤホン「Ola Friend」も、Doubaoとの音声連携を特長としながら、170ドルという価格が足枷となり市場で振るわなかった。
新製品開発では、画像・映像の品質とバッテリー持続時間の両立が技術的課題となっており、バイトダンスは専門人材の新規採用を含むチーム編成を強化。市場関係者は、中国勢の本格参入がAIハードウェアのエコシステムに影響を与えるとみる一方、スマートグラスが「ファッションアクセサリー」の域を超え、AIサービスの中核デバイスとなれるかは、今後の市場反応が鍵を握ると指摘する。
特にMetaとEssilorLuxotticaの連携からも、優れた工業デザインが製品成功の要であり、AI機能はその付加価値として評価される傾向が見て取れる。