Li Auto(理想汽車)、車載向け「DeepSeek」自社開発 個人の嗜好を汲み取る“深度思考AI”を搭載

出典:https://mp.weixin.qq.com/s/v3LD3vuVqbVazju7LXphjQ

概要ポイント
  • Li Autoが車載向けに「DeepSeek」ベースの独自推理モデルを開発。
  • AIが発話内容から思考の要否と深さを自律判断。
  • 豆汁を避けたいなどの個人的嗜好にも応じた旅行プランを生成可能。
  • 長考・短考・即応の3種応答を適切に切替え、高速レスポンスを実現。
  • 車載AI特有のニーズに対応し、DeepSeekとの差別化を図る。
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中国の自動車メーカーLi Auto(理想汽車)は、人気AIモデル「DeepSeek」をベースに車載向け推理モデルを独自に再設計した「自動車版DeepSeek」を発表した。従来のDeepSeekをそのまま車載システムに搭載するのではなく、車内の応答速度やシナリオ適合性に最適化された独自の大規模言語モデルとして開発されている。


この新モデルでは、ユーザーの発話内容をモデルが自律的に分析し、「思考が必要か否か」「長考か短考か」を判断する点が最大の特徴。単純な命令には即時反応し、複雑な依頼には数秒のディレイを挟んで個別最適な回答を返す。例えば「豆汁(北京の発酵飲料)は飲みたくない」という発言を含めて旅行プランを依頼すれば、AIはこの“否定的嗜好”を正確に読み取り、豆汁を含まない北京観光プランを数秒で提案する。このような事例は、AIが定番の観光コースではなく、ユーザーの嗜好や避けたい体験まで理解・反映できる柔軟性と精度を持つことを象徴している。


技術的には、Li Autoが以前から手がけてきた基盤モデル「MindGPT」に対して、長短思考の最適化を目的とした指令チューニングや強化学習が加えられている。トレーニングデータは既存の1100以上のスキル体系から抽出され、深度思考に適した多輪対話、短考応答、即時応答の3タイプに分類・活用されている。応答時間を0.3秒まで短縮するためには、PrefillとDecoderの分離や並列処理による推論高速化も施された。


Li AutoがDeepSeekを直接搭載せず、あえて自社開発に踏み切った理由には、車載AI特有のニーズがある。車主が走行中に時事情報への投資助言を求めたり、突然の会議通知に対応するため即時の情報整理を必要とするなど、既存のDeepSeekでは対応しきれない場面が存在する。さらに、車載環境では長い応答や思考時間がユーザー体験の障害となることも多い。Li Autoはこのギャップを埋めるために「DeepSeekの車載特化版」という独自路線を選択した。


将来的には、より高度なAI応答を実現するために端末側(エッジ)での大規模モデル実装や、NVIDIAの次世代車載チップ「Thor」の搭載による処理能力向上も見込まれている。こうした動きは、Li Autoが掲げる「シリコン基盤の家族(硅基家人)」というビジョンに一歩近づいたものといえるだろう。