中国国家天文台とアリババクラウドが、世界初の太陽活動に特化した大規模AIモデル「金烏(ジンウ)」を共同開発した。太陽フレアは地球の電磁環境に重大な影響を与える自然現象であり、強力なフレアは衛星障害、レーダー妨害、通信途絶を引き起こす。特にM5クラスのフレアは中規模ながらも深刻な影響があり、正確な予測が求められていた。
画像1・2は、太陽から発せられるフレアが地球の磁場を突破し、通信やレーダー信号を妨害する様子を示している。金烏はこのようなフレアの発生を事前に予測することで、宇宙天気への対策強化に貢献する。
金烏は、アリババのオープンソース大規模モデル「Qwen(通義千問)」シリーズのQwen-VLをベースに、90万枚以上の太陽観測衛星画像を用いて訓練された。画像とともに物理パラメータを入力することで、今後24時間のフレア発生確率を高精度で予測できる。
さらに、画像3に示されるように、金烏は拡散モデル(Diffusionモデル)と大規模言語モデル(LLM)を組み合わせており、過去データを元に未来の物理パラメータを推測し、それに基づく太陽の模擬画像を自動生成する機能も備える。これにより、観測困難な将来の太陽活動の視覚的理解も可能となる。
同天文台の林佳本副主任は、金烏を用いた今後の研究として、太陽磁気活動の周期や起源といった未解明の科学的課題に挑む計画を明らかにした。従来の機械学習では困難だった複雑な物理関係を、大規模マルチモーダルモデルが解析する「AI for Science」の実践例として注目されている。