AIによる3Dモデル生成は、これまでのゲーム開発において「最後の難関」とされてきた。複雑なデータ構造と高い品質要求から、AIが生成した3Dモデルは長らく実用に至らなかった。しかし中国系スタートアップMeshy.AIがこの壁を打ち破りつつある。
Meshy.AIは、清華大学の名門プログラム「姚班」出身でMIT博士でもある胡渊鳴が設立した企業で、米国シリコンバレーを拠点とする。創業チームはNVIDIA、Google、Metaなど出身の精鋭で構成されており、生成AIの技術力において突出した成果を見せている。
2024年の複数回の技術アップデートを経て、Meshy.AIは3Dモデルの精度と整合性を飛躍的に高め、SupercellやSEGA、Snapなど世界的ゲーム企業が顧客に名を連ねている。2025年のGDC(Game Developers Conference)では、胡渊鳴自身が登壇し「生成モデルは生産準備段階に達した」と発表した。
特に注目すべきは、Meshyが生成する3Dモデルが高品質なテクスチャとアニメーション情報まで含む「一体型ワークフロー」を提供している点である。Meshy-5では照明条件を考慮したリアルな表現が可能となり、プロトタイプ段階の3Dアセット制作においては既に大きな実用性を持ち始めている。
ゲーム制作では、主要キャラクター1体あたりの3Dモデル制作に数百万円と数ヶ月を要することもある。Meshyの導入により、モブキャラやNPCなど非主要キャラの自動生成が可能となれば、全体の開発コスト削減に直結する。さらにUGCやプロトタイピング用途でも有効で、ゲーム業界の制作体制全体に変革をもたらす可能性がある。
ただし、完全な実用化には依然として課題も残る。Meshy生成モデルのポリゴン数は高く、リアルタイム描画に向かないケースも多い。また、ボーン設定やモーション適用といった後工程の自動化も今後の課題とされている。
一方で、Google・テルアビブ大学のGameNGenや、MicrosoftのMUSE、OpenAIのSoraといった、レンダリング方式そのものを再定義する動きも進行中だ。こうした擬似3Dあるいは物理シミュレーションベースのアプローチが成功すれば、Meshyを含む3D生成AI企業が再び戦略の見直しを迫られる可能性もある。
とはいえ現時点では、Meshy.AIがこの分野の先頭を走っているのは明らかであり、数百万の開発者とクリエイターに利用されている。AIによるゲーム開発の効率化は、近い将来「不可能三角」(品質・コスト・スピード)の壁を崩す鍵となるかもしれない。