中国の家電メーカー・ROBAM(老板電器)が、世界初の料理特化型大規模AIモデル「食神」の実演をAWE 2025で公開した。「食神」は同社のデジタル調理機器と連動し、顔認識や体検報告、地域の食習慣などをもとに個別最適な食事プランとレシピを提供。搭載された大規模言語モデル「DeepSeek」により、健康・栄養管理と料理を一体化したAI体験を実現している。
特徴的なのは、ユーザーがアプリを通じて調理家電を制御し、レシピに従った自動調理が可能な点だ。火加減や炒め時間の調整、音声ガイドによる料理支援まで対応し、初心者でも複数品目を同時に作れる。加えて、食材と制約条件から全体の調理工程を最適化する推論機能も備え、冷めない一食分を完成させることができる。
さらに、マルチモーダル機能により、ユーザーの顔写真を解析して肌状態や栄養状態を推定し、それに基づく長期的な食事プランも生成可能。日常の食生活や作業内容を入力することで、より精度の高い提案が行われる。栄養士資格試験レベルの知識も保持しており、国家基準を上回る性能を実現した。
開発の背景には、46年にわたる同社の調理分野のノウハウ蓄積がある。食品規格や法規、料理文化といった公的データに加え、膨大なオリジナルレシピやデバイス連動データ、調理前後の工程知識などを統合し、業界屈指のベクトルデータベースを構築。さらに清華大学出身者を含む50人の大モデル研究チームを成都に配置し、専門性の高い調理AIの実現につなげた。
このAI料理システムを搭載した製品の売上は急増しており、2024年の販売台数は30万台を超えた。ユーザーからのデータが技術や製品改善にフィードバックされることで、プロダクトと技術の好循環が成立しつつある。
家庭料理だけでなく、創作料理の支援や家族ごとの栄養バランス管理、アレルギー対応など、多様なニーズに対応可能な「食神」は、生活に密着したAIの進化形といえる。今後は具身型ロボットとの連携により、AIシェフのような存在も現実味を帯びてきた。
厨房という生活の核心におけるAIの進出は、単なる技術導入を超え、人間の感情や文化を包含した人間味のあるAIの方向へと進んでいる。