李開復、AI基盤モデルの寡頭化を語る──中国はDeepSeek・アリババ・バイトダンスの3強体制へ収束と予測

出典:https://mp.weixin.qq.com/s/RWM3c7r-2SJ9LsWIExILGQ

概要ポイント
  • 中国の大規模AIモデル開発は最終的にDeepSeek、アリババ、バイトダンスの3社に集約されると李開復が予測。
  • 01.AIはDeepSeekを活用した企業向けオールインワンプラットフォームを発表。
  • 中国政府は「新質生産力」政策の一環として、AIを産業発展の中心技術と位置付け。
  • AI基盤モデルへの投資は頭打ちとなり、応用・インフラ開発へとシフトし始めている。
  • DeepSeekの成功は、限られた計算資源の中での効率追求と技術革新によるもの。
本文

中国のAI業界を牽引する実業家であり、01.AI(零一万物)のCEOを務める李開復が、Bloombergの取材に応じ、中国における大規模AIモデル開発の競争構図と今後の展望について語った。李は、今後中国の基盤モデル開発は寡頭化が進み、最終的にDeepSeek、アリババ、バイトダンスの3社が生き残ると予測。特にDeepSeekの急成長は、中国における「ChatGPT時代」の幕開けを象徴しており、社会的インパクトとともに技術的評価も高いと述べた。


李によれば、DeepSeekの出現によって中国国内のAIモデルに対する理解が急速に進み、一般層から企業経営層まで幅広く注目を集めた。春節休暇明けには、多くの企業が自社への導入を検討し始め、AI応用への本格的な流れが形成された。一方で、DeepSeekなどのオープンソースモデルは、そのままでは企業の基幹業務への実装が難しく、中間ソフトウェアや業界特化型のUI、業務連携機能が求められている。


これを補完するのが、01.AIが新たに発表した「万智企業大模型一站式平台」だ。このプラットフォームは、DeepSeekのような高性能な基盤モデルを企業内部のERP・CRMシステムや独自データベースと連携させることで、実務に応用可能な形に変換する。李はこの取り組みを「DeepSeekがWindowsカーネルなら、01.AIはOSやアプリケーションを提供する存在」と表現し、企業向けの“AI実用化レイヤー”としての役割を担う意向を示している。


また、AIモデル開発の国際的な競争構造についても、李は中米双方で寡頭化が進行中であると指摘。米国ではOpenAI、Anthropic、Google、xAIが主要なプレイヤーとなっており、特にxAIの成長速度には注目しているという。一方、DeepSeekはOpenAIの約2%という圧倒的に低いコストで同等性能のモデルを構築できており、商業的持続性において有利だと評価。OpenAIが2024年に70億ドルの運用コストを要する中、DeepSeekは数分の一のリソースで競合し得る存在となり、AI業界のパラダイムを揺るがしている。


01.AI自体も今後は、特定の超巨大モデル(Yiモデル)に固執せず、複数のオープンモデルとの連携を前提とした柔軟な戦略へとシフト。COOのAnita(黄蕙雯)も「パラメータ数が数兆に及ぶモデルの開発は費用的に非現実的」と明言しており、今後は市場実装可能な“使えるAI”の開発に軸足を置く。李は、AIが真に価値を生むのは応用段階であり、基盤モデル自体が商品化されているとは言い難いと述べた。


また、AI開発に対する中国政府のスタンスについても触れられている。現在、中国の中央および地方政府は「新質生産力」という政策スローガンのもと、AIを伝統産業の高度化・効率化に活用する方向性を打ち出している。各地で実証実験や産業連携プロジェクトが活発化しており、01.AIもこうした取り組みに積極的に参画しているという。


最後に李は、DeepSeekの成功の背景には、制約されたGPUリソースを最大限に活用するための技術革新があると指摘。米国大手に比べて圧倒的に少ない計算資源を前提としながらも、その制限が逆に革新を促し、推論コスト・学習コストの大幅削減を実現させた。これはまさに「需要は革新の母」であり、AIの未来を左右するのは資本量よりも適応力と創造性であるという姿勢を示している。