Baichuan AI(百川智能)と北京儿童医院、世界初の小児向け大規模AIモデル「福棠·百川」を発表

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概要ポイント
  • Baichuan AIと北京儿童医院が共同で小児科特化の大規模AIモデルを開発。
  • 膨大な専門医データと循証医学知識を学習し、複雑な小児疾患に対応。
  • 日常診療向け「基層版」と専門医支援用「専門版」の2製品を展開。
  • 北京・河北の150以上の医療機関で試験導入を進行中。
  • 小児医療の質の平準化と分級医療体制の強化を目指す。
本文

Baichuan AI(百川智能)は、北京儿童医院および小児方健康と連携し、小児科に特化した世界初の大規模AIモデル「福棠·百川」兒科大模型を発表した。小児科は多臓器系の知識と総合診療能力を要求される分野であり、特に特殊症例や難病、希少疾患に対応するには高度な医学的推論力が求められる。「福棠·百川」モデルは、こうした複雑な臨床現場における診療支援を可能にするAIとして開発された。


このモデルはBaichuan AIが開発する医療特化の強化型汎用大規模言語モデル(LLM)をベースとし、1兆トークン規模の中英バイリンガル医療データを学習。論文、診療ガイドライン、教科書、薬品情報などの広範な医学知識に加え、北京儿童医院に所属する300名以上の著名小児科医師の診療経験や、数十年分の脱識別化された高品質な症例データも統合されている。


さらに、循証医学に基づく推論能力の強化が図られており、モデルは40,000本以上の中英語の臨床ガイドライン・専門家コンセンサス、3,800万本超の研究論文、17万件に及ぶ薬品情報を格納した独自の高信頼ナレッジベースを活用する。これにより、AIは「証拠に基づき」「論理を立てて」診断・治療方針を提案し、親や医師との対話においても多輪にわたる質問応答を自律的に行える。


今回の発表では、この大規模モデルを応用した2種類のAI小児科医製品も同時にリリースされた。ひとつは「福棠·百川 AI 小児科医 基層版」で、主に地域病院や診療所など日常診療を担う医療現場向けに設計されている。風邪に似た症状を示すが進行すると危険性が高いウイルス性脳炎など、早期判断が難しい症例にも対応でき、初期診断と検査提案を行う機能が実装されている。


もうひとつは「専門版」で、主に総合病院や大学病院などでの多診療科連携診療や入院ケース分析の支援を想定している。すでに2月初旬から北京儿童医院にて、複数診療科による専門医会診で実運用が開始されており、AIが提示した診断方針と人間医師による会診結果の一致率は95%に達するという。これまでに10件以上の難治症例に対応し、さらに大規模な小児診療ラウンドにも参加している。


今回の導入にあたり、北京児童医院が管轄する国家区域医療センター4ヵ所を拠点に、北京市内の海淀区・経済開発区の地域医療機関および河北省の150以上の県レベル病院へと順次導入が進められる。すべての施設において、「AI医師+実医師」という“ダブルドクターモデル”の形で運用され、地方における小児診療の能力底上げを図る。国の小児医療水準を均質化し、分級医療体制全体の質向上に寄与することが期待されている。


国家儿童医学中心主任であり北京儿童医院の院長でもある倪鑫氏は、この取り組みを「AIと実医師の融合による医療進化の象徴」と評価。福棠·百川モデルは、中国の小児医療における質の格差という構造的課題に対し、AI技術によるブレイクスルーを提供する先進事例となっている。