中国のEVメーカーLeapmotor(零跑)は、自動運転の大衆化を加速させる新型SUV「B10」を13万元(約270万円)という低価格で発表した。注目すべきは、その価格帯でありながら、LiDAR(レーザーセンサー)、200TOPS超の演算性能、都市部対応のNOA(ナビ付き自動運転支援)機能までを標準搭載している点だ。今後はOTA(Over-The-Air)アップデートによって、「出発から駐車まで全自動運転」機能も無料で提供される予定となっている。
B10には人間の運転データをAIが学習するエンドツーエンドモデルが導入されており、複雑な交通状況にも柔軟に対応できる。工事区間での自然な迂回や、交差点での歩行者・電動バイクへのスムーズな対応など、防御的かつ滑らかな運転挙動を実現。従来のルールベースの自動運転では困難だった場面でも「ゼロ接管・ゼロ違反」を目指す。
ハードウェア面では、Qualcommの最新8650チップを採用。従来のNVIDIA製チップに匹敵する処理性能を持ちながら、省電力かつ低コストを実現している。27個の各種センサーとLEAP 3.5アーキテクチャにより、車載コンピュータとインフォテインメントの統合も進み、将来的なVLA(視覚言語エージェント)などのAIモデルの導入にも対応可能だ。
これまで「高性能=高価格」「低価格=限定機能」という図式が支配的だった中で、B10はその境界を破り「高性能×低価格」を両立させた存在として位置づけられる。都市部でのNOAをすでに標準搭載しており、年内に「出発から駐車まで全自動運転」が実現すれば、Leapmotorは自動運転技術の“先進世代”入りを果たす見通しだ。
2025年に向けて自動運転の普及が本格化する中、Leapmotorは自社開発技術と戦略的なアーキテクチャ設計により、自動車業界の「破壁人(ブレイクスルーの担い手)」として、最も注目すべき存在となっている。