テンセント(Tencent)は2025年2月27日、新世代のAIモデル「混元(Hunyuan)Turbo S」を正式に発表した。このモデルは、従来の「熟考型」モデルである「Deepseek R1」や「混元(Hunyuan)T1」とは異なり、より高速な「直感型」を採用している。「即時回答」と呼ばれる高速応答を実現し、出力速度は2倍、初動の遅延は44%削減された。
「混元(Hunyuan)Turbo S」は、知識、数学、創作などの多様な分野で優れたパフォーマンスを示し、特に理系分野の推論能力が大幅に向上している。これを可能にしたのが、テンセント独自の「Hybrid-Mamba-Transformer」アーキテクチャだ。Mambaの長文処理能力とTransformerの複雑な文脈捕捉力を組み合わせることで、計算複雑度を大幅に下げ、KV-Cacheのメモリ消費も抑制した。この技術革新により、トレーニングと推論のコストが大幅に削減され、業界初の超大型MoEモデルへのMambaアーキテクチャの適用を実現している。
「混元(Hunyuan)Turbo S」は、今後のテンセント混元シリーズの派生モデルの中核となる予定だ。また、同時にリリースされた「推論モデルT1」は、長思考チェーン、強化学習、検証強化技術を採用しており、テンセント元宝プラットフォームで全量公開されている。
APIはテンセントクラウドを通じて提供され、開発者や企業ユーザーは一週間の無料試用が可能。価格設定は、入力0.8元/百万tokens、出力2元/百万tokensと、前モデルから数倍のコスト削減を実現している。テンセント元宝では、Hunyuanモデルを選択し、ディープシンキングをオフにすることで、「混元(Hunyuan)Turbo S」の機能を体験できる。