阿里巴巴(Alibaba)は、今後3年間で3800億元(約74兆円)を投資し、クラウドおよびAIハードウェアインフラの構築を強化する計画を発表した。この投資額は過去10年間の投資額の合計(約3000億元)を大幅に上回り、中国民間企業として最大規模となる。同社のCEOである呉泳銘氏は、「AIの爆発的成長に対応し、国内の技術産業の発展を加速させる」と述べ、AlibabaがクラウドおよびAI分野に注力する姿勢を示した。
市場ではこのニュースを受けて、Alibabaの株価が急騰。2月25日の早盤取引では、株価が前日比3.1%上昇し、133.05ドルを記録した。また、投資銀行のモルガン・スタンレーとゴールドマン・サックスは、Alibabaの目標株価を大幅に引き上げた。モルガン・スタンレーは目標株価を100ドルから180ドル(楽観シナリオでは300ドル)に修正し、阿里雲(Alibaba Cloud)の収益が今後3年間で倍増する可能性を示唆している。ゴールドマン・サックスも同様に、Alibabaのクラウド事業の成長を評価し、目標株価を160ドルに引き上げた。
さらに、Alibabaは新しいAI推理モデル「QwQ」を発表した。このモデルは「Qwen2.5-Max」をベースに開発され、深層思考とネットワーク検索を同時にサポートし、より高度なAIアプリケーションの実現を目指す。この技術的進歩により、AlibabaはAI市場での競争力を一層強化することが期待されている。
Alibabaの積極的な投資と技術革新は、クラウドおよびAI市場での同社の地位を確固たるものにし、今後の成長に向けた大きな一歩となる。ただし、世界経済の不確実性や競争環境の変化も考慮する必要があり、投資家はリスク管理を徹底することが求められる。