Alibaba Groupは2025年2月20日、2025年第3四半期(Q3)の決算を発表。Alibaba Cloud(阿里雲)の売上は317.42億元(約6,000億円)に達し、前年同期比13%の成長を記録した。この成長の主要因は、公共クラウドビジネスの堅調な二桁成長と、AI関連製品の利用拡大にある。特にAI関連収入は、6四半期連続で三桁成長を維持している。
Alibaba Cloudは、先進的なAIモデルの開発とオープンソース化を積極的に推進。最近では、最新のQwen2.5-Maxモデルを発表した。このモデルは20万億tokens以上のデータで訓練され、世界トップクラスのオープンソースMoE(Mixture of Experts)モデルを超える性能を示した。また、AI推論モデル「QwQ-32B-Preview」や多モーダル推論モデル「QVQ-72B-Preview」のオープンソース化も進め、グローバルなAI開発コミュニティから高い評価を得ている。
AIインフラストラクチャーの強化にも注力しており、AI時代に最適化されたサーバーや高性能ネットワークの導入を進めている。Alibaba Cloudの人工知能プラットフォームPAIは、十万規模のGPUを活用した弾力的なAI計算能力を提供し、効率性を大幅に向上させている。
Alibaba Cloudは、金融、電力、エネルギー、交通、文化メディア、消費電子など多様な業界でのAI導入を進めている。例えば、招商銀行ではAIモデル「通義千問」を活用した投資リサーチ支援ツール「AI小研」を導入し、情報検索やレポート生成の効率を大幅に改善した。また、国家電網(State Grid)とは「光明電力大模型」の共同開発に取り組み、エネルギー分野でのAI活用を推進している。
さらに、Alibaba Cloudはグローバル市場にも積極的に展開。2025年2月には、タイとメキシコに新しいデータセンターを開設し、特にメキシコの施設は南米市場への重要な一歩となった。現地企業や中国企業の海外進出を支援するための強力なクラウドインフラを提供している。
Alibaba Cloudは、AIとクラウド技術を融合させ、企業のデジタルトランスフォーメーションを加速させるだけでなく、世界中の中小企業や開発者が先進的なAI技術を活用できる環境を整備することにも注力している。