中国のAIスタートアップ「DeepSeek」は、設立から約2年で初めて外部資金調達を検討していることが、2月19日に海外メディア「The Information」の報道で明らかになった。内部関係者によれば、同社は急速に増加するAIチップやサーバーの需要に対応するため、数週間前から外部資金の導入を考え始めたという。
現在、阿里巴巴(Alibaba)グループや中国投資有限責任公司をはじめとする国内の資金力豊富な投資家が、DeepSeekへの投資に関心を示していると伝えられているが、これらの企業やDeepSeek自身はコメントを控えている。
DeepSeekとその親会社である幻方量化の経営陣は、外部資金調達の是非に加えて、同社の事業モデルを見直す可能性も検討中だ。具体的には、これまでの研究重視の姿勢から、収益性のあるビジネスモデルにシフトし、最終的な収益化を目指す方針が議論されている。また、東南アジアのデータセンターを活用し、NVIDIAのAIチップをより多く確保する案も浮上している。
これまで、DeepSeekは外部資金の導入には消極的だった。2023年末から2024年初頭にかけて、複数の中国系ベンチャーキャピタルが投資の打診を行ったが、同社は当時「外部資金を調達する意思はない」と明言していた。しかし、最近の状況変化により、創業者の梁文峰氏は資金調達に対して慎重ながらも前向きに検討していると伝えられている。
また、1月下旬には同社が財務総監の公募を行っていたことから、資金調達準備の一環ではないかとの憶測も広がっていた。そして、2月15日には法人登記情報プラットフォーム「天眼査」にて、裴湉氏が役職変更され、新たに王賢祖氏が財務責任者に就任したことが確認された。これは、同社にとって初の財務責任者の登用であり、今後の資金調達に向けた体制強化とみられている。