2025年2月14日、中国のAI企業・昆侖万維(Kunlun Tech)は「Matrix-Zeroモデル」を発表し、空間知能の新時代を切り開いた。同社は、中国初の3D空間生成とインタラクティブ動画生成を統合したAIモデルを開発し、デジタルコンテンツ制作の革命を目指している。
「Matrix-Zeroモデル」は、3Dシーン生成モデルとインタラクティブ動画生成モデルの2つの主要機能を備えている。3Dシーン生成モデルは、画像をリアルな3D空間へと変換し、自由に探索できる環境を提供する。既存のAIGCツールと比較して、より広範囲の探索が可能で、ダイナミックな物理シミュレーションにも対応する。一方、インタラクティブ動画生成モデルは、ユーザーの入力に応じたインタラクティブな動画を生成し、ゲームや映画制作においてリアルタイム制御を実現する。
従来の3Dモデリング技術は、高コストかつ時間がかかるため、大規模なコンテンツ制作には不向きだった。しかし、AI駆動の3Dシーン生成技術により、制作効率が飛躍的に向上する。たとえば、1枚の「城の庭」の画像から360度の完全な3D空間を生成し、ユーザーが自由に移動できる環境を構築できる。また、入力画像のスタイルに応じたシーン生成や、光の反射や水の流れといった物理現象のシミュレーションも可能だ。
加えて、インタラクティブ動画生成では、ユーザーの操作によるリアルタイムな視点移動が実現する。例えば、「夜の街」の画像を入力すると、ユーザーはキーボードやマウス操作によって自由に移動し、映像内を探索できる。これにより、ゲームエンジンを使用せずとも、没入感のあるインタラクティブな映像コンテンツを生成できる。
昆侖万維(Kunlun Tech)は、AI技術を活用した革新的なプロダクト開発に注力しており、天工AI検索、AI音楽制作プラットフォームMureka、AI短編動画SkyReelsなど、多岐にわたるAI事業を展開している。Matrix-Zeroモデルは、同社のAI事業にさらなる推進力を与え、ゲーム開発や映画制作、具身知能の研究分野に大きな影響を及ぼすと期待されている。
Matrix-Zeroモデルは、2025年4月に正式リリース予定であり、デジタルコンテンツ制作の未来を大きく変える可能性を秘めている。