AI技術開発企業の無問芯穹(Infinigence AI)と、中国大手IT企業の聯想(Lenovo)は、新たな協業を発表した。両社は、ソフトウェアとハードウェアの深い連携を目指し、「エッジモデル+エッジソフトウェア+エッジIP」一体化ソリューションを共同開発する。これにより、次世代のAI PCなどインテリジェント端末の開発を推進し、個別最適化されたエッジAIの新たな形を探る。
Infinigence AIは、独自のMegrezエッジAIモデルとMizar推論加速エンジンを活用し、端末AIの性能向上を図る。特に、Lenovoの複数の端末モデルに最適化されたMizarエンジンは、CPU・GPU・NPUの同時推論を可能にし、ソフトウェアとハードウェアの連携によって最大70%以上の性能向上を実現する。この技術は、新世代AI PCの計算能力向上や消費電力の最適化に貢献すると期待されている。
Infinigence AIは、2022年末以降、より小型で高精度・高速度なエッジAIモデルの開発を進めており、最近発表した「Megrez-3B-Omni」は画像・音声・テキストの全モダリティで優れた性能を発揮。さらに、従来のモデルと比べて最大300%の高速推論が可能となり、軽量でありながら高い精度を維持する設計が特徴だ。
加えて、Infinigence AIは、AIモデルの計算能力を最適化するInfini-AI異構クラウドプラットフォームを構築。全国15都市以上で計算能力を提供し、AI開発者に高性能でコスト効果の高い計算リソースを提供している。このプラットフォームにより、多様なAIモデルを異種混合計算環境(Heterogeneous Computing)で最適に展開できるようになり、AI技術の普及とAGI(汎用人工知能)の実現を加速させることを目指す。
今後、Infinigence AIとLenovoは、より個別化されたエッジAIモデル、高効率な推論加速エンジン、高性能なエッジIPを開発し、端末AIシステムの性能を飛躍的に向上させることを目指す。両社は、AI技術を活用した次世代インテリジェント端末の開発を通じて、ユーザーにより最適なAI体験を提供し、端末AIの普及を促進する考えだ。