中国国務院国有資産監督管理委員会(国資委)は、国家レベルのデータ資源を統合・運営する新たな中央企業「国家数据集団(国家データグループ)」の設立を進めている。これは、データ要素市場化改革の深化を目的としており、全国規模でデータを統合し、効率的な流通と市場化を推進する狙いがある。
データは、土地、労働力、資本、技術に次ぐ「第5の生産要素」として急速に重要性を増している。しかし、中国ではデータ資源の分散や断片化が問題視されており、これが市場化の障害となっていた。国家データグループの設立は、この課題を解決し、データ資源の統合と最適化を進めることで、より効率的な市場運営を実現することを目的としている。
同グループは、エネルギー、交通、金融、医療、工業などの幅広い分野を対象とし、データ資源の業界間および地域間の流通と共有を促進する。さらに、人工知能(AI)、ブロックチェーン、クラウドコンピューティングなどの最新技術を活用し、安全で効率的なデータ取引と流通のメカニズムを構築する予定だ。特に、データのプライバシー保護とセキュリティ確保を重要視し、技術的・法的対策を強化する。
また、データの市場化を促進するため、データ取引のルール整備や価格メカニズムの確立にも取り組む。これにより、データ資源の活用効率を向上させるだけでなく、国有企業のデジタル化転換にも貢献し、より大きな経済価値を創出することが期待されている。
中国のデータ市場は急成長しており、2024年には市場規模が1662億元、2025年には2042.9億元に達すると予測されている。「十四五」計画期間中のデータ要素流通市場の規模は5000億~1兆元に達するとも見込まれており、国家データグループの設立は、この成長市場をさらに活性化させる重要な役割を担う。
さらに、国家データグループの設立は、データ要素市場化改革が深化段階に入ったことを意味し、データ資源の統合と流通を加速するトップダウンの設計として機能する。この動きにより、中国は世界のデータ資源競争における地位を強化し、データの国境を越えた流通と国際協力を推進することが期待されている。
国家データグループの設立後、中国のデータ市場はさらなる発展の可能性を迎え、より規模の大きなデータ流通と商業化が実現する見込みだ。