アップルは、中国のiPhoneユーザー向けに人工知能(AI)機能を開発するため、アリババと提携を進めていることが明らかになった。両社が共同で開発した中国版AI機能は、現在、中国の規制当局による承認手続き中であり、提携が大きく前進していることを示している。
アップルは2023年から、中国の主要AI企業が開発したAIモデルのテストを開始していた。当初はバイドゥを主要パートナーとして選定していたが、協力は思うように進まず、バイドゥの開発したモデルはアップルの基準を満たさなかった。その後、テンセント、バイトダンス、アリババ、DeepSeekのモデルを評価し、最終的にアリババを選択した。
アリババが選ばれた主な理由として、同社が中国の消費者データ、特に購買や支払い習慣に関する豊富なデータを保有している点が挙げられる。これにより、アリババのAIモデルは中国ユーザーのニーズを深く理解し、アップルのAI機能において、より個別化されたサービスを提供できると判断された。なお、アリババは中国のデータプライバシー法に基づき、個別のデータセットをアップルと共有しない方針である。
さらに、アリババの「千問(Qwen)」シリーズのAIモデルは、多様なタスクやサイズに対応しており、アップルのAI技術要件を満たすと評価されている。特に、多言語対応や製品化の適合性において優れており、開発者コミュニティからも高い評価を得ている。
この提携により、アップルは中国市場でのAI機能を強化し、ユーザーによりパーソナライズされたサービスを提供することを目指している。他のパートナー候補としてバイドゥやテンセントも検討されたが、最終的にアリババが選ばれたことで、同社の技術力と市場理解が改めて認識された形となった。