中国VC(ベンチャーキャピタル)がAI企業DeepSeekへの投資機会を逃したことが業界内外で議論を呼んでいる。DeepSeekは梁文锋氏の支援を受け、外部投資なしで独自に運営しており、これまでVCの資金提供を拒んできた。そのため、多くの投資家が「DeepSeekを見逃した」と嘆いているが、一部では「VCが投資しなかったのではなく、DeepSeekが投資を受けなかっただけ」との意見もある。
2月7日には阿里巴巴がDeepSeekに10億ドルを投資し、10%の株式を取得するとの報道が広がり、市場が一時的に反応。阿里巴巴の株価は急騰し、最大8%の上昇を記録した。しかしその後、阿里巴巴側がこの報道を正式に否定したため、株価は再び下落し、最終的に3%の上昇幅にとどまった。阿里巴巴は以前から大規模AIモデルへの投資を積極的に行い、「6小虎」と呼ばれる6つの有望なAI企業にも資金を投入しているが、DeepSeekに関しては公式な関与を否定している。
また、投資家の間でも意見が分かれている。金沙江創投の管理合伙人である朱啸虎氏は、以前「大規模AI企業には投資しない」と発言していたが、今回「DeepSeekには大きな意義があり、投資したい」と評価を一変させた。彼は「DeepSeekの成長はオープンソースのAndroidに似ており、すでに他の企業が追いつけない状況にある」と指摘。この発言の変化に対し、ネット上では「結局、成功しそうなプロジェクトには乗りたがるのでは?」と揶揄する声も多い。
さらに、VC業界全体の投資判断のあり方にも疑問が投げかけられている。中国のVCはしばしば「確実に利益を出せる案件」ばかりを求め、未知数の技術や新しい分野への投資には消極的だと指摘されている。VCが創業者の学歴や経歴ばかりを重視し、技術の将来性やビジョンを十分に評価していないことも問題視されている。
DeepSeekの成功は、単にAI技術の発展だけでなく、中国のVC業界に対する疑問や投資戦略の見直しを促す契機となっている。今後、中国VCがどのように変化し、革新的なAI企業を支援できるのかが問われている。