中国のスタートアップが開発したAI検索エンジン「Hika AI」が注目を集めている。Perplexityが広告導入を発表し、AI検索が改めて脚光を浴びる中、Hika AIは独自のアプローチで急成長。リリースから1カ月足らずで、ユーザーの滞在時間や離脱率、訪問ページ数といった指標でPerplexityを上回る成績を記録し、小紅書（RED）やRedditで話題となっている。

Hika AIを開発したのは、わずか5人のスタートアップチーム。当初はノートアプリの開発を進めていたが、ユーザーから「何を質問すればよいかわからない」「知識の範囲が限られ、満足のいく回答が得られない」といったフィードバックが多く寄せられた。こうした課題を解決するため、検索領域へと方向転換し、より実用的なAI検索を目指した。

Hika AIが他のAI検索と大きく異なるのは、検索結果の提示方法だ。従来のAI検索は、シンプルな一問一答形式でユーザーに情報を提供するが、Hika AIは「検索結果を深掘りしやすくする」ことに重点を置いている。検索結果を段落ごとに区切り、ユーザーが気になる部分をクリックすれば、さらに詳細な情報を取得できる。また、情報整理のための表やマインドマップ機能も搭載し、ユーザーが視覚的に情報を把握しやすい仕組みを提供している。

開発チームは、AI検索の未来について「短期間でAIが人間を完全に代替することは難しい。ユーザーは情報を取捨選択する能力を持っており、Hika AIはそのプロセスをサポートするべき」と語る。検索結果を機械的に提示するのではなく、多角的な視点での情報提供を重視し、より自然な検索体験を実現することを目指している。

Hika AIのチームは5人という小規模ながら、AIを積極的に活用することで、開発からマーケティングまで効率化を図っている。AIによるコード生成やデバッグを活用し、少人数でもスピーディな開発を実現。マーケティング面では、海外向けのプロモーションでAIを活用し、各地域の文化に適した広告コピーを作成している。さらに、知名度の低いスタートアップとして、SNS運用やインフルエンサー（KOL）への直接アプローチを積極的に行い、口コミによる拡散を促進している。

現在、Hika AIは完全無料で提供されているが、将来的には「基本無料＋プレミアム機能の有料プラン」を導入する可能性がある。これはChatGPTのようなサブスクリプションモデルに近い形となる予定で、当面の間は広告を導入しない方針。一方、Perplexityはすでに広告収益モデルを導入しており、スポンサー付きの検索結果を提供する方向にシフトしている。Hika AIは「ユーザー体験を最優先にする」とし、広告モデルには慎重な姿勢を示している。

Hika AIの成功は、単なる技術力だけでなく、ユーザーの本質的なニーズを捉えた検索体験の設計、そして小規模チームながらも効率的な運営戦略によるものだ。AI検索はまだ発展途上であり、今後も市場の変化に適応しながら成長していくことが予想される。興味のある人は、Hika AIを試してみるのもいいかもしれない。

Hika AI 公式サイト: https://hika.fyi/