科大訊飛(iFLYTEK)は1月15日、新たなAIモデル「星火深度推理モデルX1」を発表した。このモデルは、数学的推論能力を強化し、教育や医療分野などでの実用化が進められている。X1は、より少ない計算資源で高精度な推論を可能にし、特に数学の問題解決能力が向上していることが特徴だ。
実証実験では、高等数学の試験問題を用いてX1の解答精度が評価された。結果として、小学校から大学レベルまでの数学問題に対して、明確な解答手順を提示し、オリンピック数学競技(奥数)の問題においても一定の成果を示した。
さらに、星火4.0 Turboのアップグレードにより、長文理解や画像解析の精度が向上。手書きの試験用紙や学術論文、企業の契約書といった複雑な文書を高精度に認識し、業務の効率化に貢献することが期待される。新たな「スキャン文書解析機能」では、500ページの文書解析を2分で完了できるとされ、企業や研究機関の業務を大幅に効率化する可能性がある。
業界応用においては、教育分野での「教師アシスタント」機能が試験運用されており、数学教育のサポートツールとしての活用が進められている。また、医療分野では、診断の正確性を向上させる試みが進行中であり、病歴分析の精度が90%に達すると報告されている。
加えて、音声翻訳技術も大幅に向上し、「星火音声同時通訳モデル」が発表された。このモデルは、話者の発言をリアルタイムで翻訳する「端末間翻訳(エンドツーエンド)」技術を採用。翻訳のスムーズさが向上し、翻訳業界や観光、国際会議などの分野での活用が期待されている。
科大訊飛は、星火シリーズの継続的な進化を通じて、AIの業界応用を加速させる方針を示している。特に、AIが専門的な業務の補助として機能し、教育や医療、ビジネス領域での実用化が進むことで、さらなる産業変革が促されることが予想される。