バイドゥ(百度)、ERNIE X1.1を発表──事実性・命令遵守・エージェント能力を大幅強化

出典:https://mp.weixin.qq.com/s/vUQb7LzcfeeSIU0jp_WWWw

ERNIE X1.1 発表
概要ポイント
  • ERNIE X1.1を正式発表、事実性34.8%向上
  • GPT-5やGemini 2.5 Proと同等性能を示す
  • 脚本駆動型マルチモーダル協調によるデジタルヒューマンを公開
  • PaddlePaddle v3.2やFastDeployで大規模モデル訓練・推論を強化
  • ERNIE Code 3.5Sがマルチエージェント協調開発を推進
本文

バイドゥ(百度)はWAVE SUMMIT深層学習開発者大会2025において、次世代モデル「ERNIE X1.1」を発表した。X1.1はERNIE 4.5を基盤に構築されたX1の改良版で、混合強化学習と自己蒸留データの反復学習により性能を大幅に向上。事実性は34.8%、命令遵守は12.5%、エージェント能力は9.6%改善され、複雑な文章生成や長期タスクにおいて高い正確性と論理性を示した。各種ベンチマークではDeepSeek R1-0528を上回り、一部タスクで国際的先端モデルGPT-5やGemini 2.5 Proと同等水準に達した。


大会ではさらに、脚本駆動型のマルチモーダル協調によるデジタルヒューマン技術を披露。言語・音声・映像を統合した高精度デジタルヒューマンが、既に実際のライブ配信で成果を挙げていることも報告された。また、知識専門家による「ERNIEメンター計画」や、中国科学技術館と共同開発する「インテリジェントエージェント・マトリクス」など、応用領域の拡大も示された。


基盤技術面では、深層学習フレームワークPaddlePaddle v3.2を発表。訓練効率を高め、CUDA互換性やSafetensors対応を拡充したほか、FastDeployによる推論最適化で高スループット性能を実現した。さらに、流体力学や材料科学向けの科学計算開発キット、ERNIEKitによる効率的な後訓練、大規模計算グラフデータセットGraphNetの公開も行われた。


加えて、開発者向け自動コーディング支援ツール「ERNIE Code」は3.5Sへアップグレード。マルチエージェントの自律協調を強化し、「一人即チーム」の開発スタイルを可能にした。バイドゥ内部でもコードの45%がAI生成となり、トップユーザーでは75%以上に達している。


今回の発表は、バイドゥ(百度)がフルスタックの技術基盤を背景に、大規模モデルと応用分野を一体的に進化させていることを示すものであり、中国AIの国際競争力強化の象徴といえる。