バイドゥ自動運転事業部の初代総経理を務めた王勁(Wang Jing)が創業したL4自動運転企業Allride.ai(中智行)が、南京栖霞区人民法院により破産清算へと入った。Allride.aiは2018年に設立され、王勁が推進した「道路協調型」戦略を掲げて自動運転の新たな技術路線を目指した。従来の単車知能に限界を見出し、5Gや新基建を背景としたインフラ協調型モデルを構想したが、通信や設備整備など多方面の課題に直面し、実証段階を突破できなかった。
さらに資金繰りの悪化が追い打ちをかけ、2022年に発表したL4自動運転ソリューションも実用化に結びつかず、2023年には給与未払い訴訟や強制執行が相次ぎ、事実上の経営破綻状態となった。今回の破産清算は再建ではなく清算であり、企業としての存続は完全に断たれる。
王勁(Wang Jing)はバイドゥ時代に「三年量産、五年商用」を掲げ、中国の自動運転を先駆けて推進した人物である。バイドゥ退社後は景馳科技(Jingchi Technology)を創業するも内部対立で離脱。その後、Allride.aiを立ち上げたが志半ばで挫折に終わった。自動運転産業初期を牽引した代表的な起業家の退場は、産業の厳しさを改めて浮き彫りにした。