中国電信が構想する「AI下半場」の中核技術として、TeleAI研究院が開発する「智伝網(AI Flow)」が世界的に注目を集めている。AIモデルをクラウドに閉じ込めず、端末・中継・クラウドの各層で分散的に処理し、ネットワーク上で知能が流通するという構想だ。
arXiv上で公開された技術論文では、通信インフラとAIの融合により、遅延・消費電力・プライバシーといったAI普及の障壁を克服する新たなアーキテクチャが提案された。モデル同士の相互作用によって創発的知能を生み出す設計も含まれる。
この構想を支える実装例として、TeleAIは「Ruyi 7B」モデルファミリーをGitHubで公開。サイズを柔軟に切り替えられる共通設計のモデル群であり、端末性能に応じた動的処理と計算再利用を可能にする。推測デコーディングによるリアルタイム応答も実現している。
この「智伝網」は、AIをアプリからインフラへ進化させる鍵とされ、中国の通信事業者がAI基盤構築に乗り出す象徴ともなっている。端末とクラウドをつなぐ「知能のインターネット」を具現化する動きとして、国際的な関心を集めている。