BYDは2025年7月、自社のAI駐車機能「天神之眼(Eye of the God)」に関し、ユーザーがこの機能を利用中に起きた事故について、保険を通さず全額賠償する方針を公式に発表した。これは中国国内の数百万台のユーザーを対象にした制度であり、今後の智能運転の責任の所在や補償制度のあり方に一石を投じる動きといえる。
BYDはこの決定の背景に、L4級に匹敵する自動駐車技術の実用化を挙げている。限定環境下ではドライバーの操作不要で駐車が完了する高度な自動化を実現しており、自信をもって「責任は自社が負う」と明言した。これによりユーザーは保険等級への影響を気にせずに機能を活用できる。
また、同機能の最新OTAアップデートも同時に告知され、天神之眼Bでは走行中の工事現場や街路の障害物回避能力が向上し、天神之眼Cでは駐車時の柔軟性が飛躍的に高まった。具体的には、駐車位置の左右偏りや前進・後退選択、自動ミラー格納など、実用性の高い機能が実装された。
同社は中国最大の車両クラウドデータベースと世界最大規模の智駕技術チームを擁しており、2025年上半期には智能駆動機能搭載車の販売台数が100万台を突破。普及率も79%に達しており、「全民智駕(全人民の智能運転)」を掲げる戦略のもと、高速道路でのNOA(ナビ付き自動運転)や都市部での自動駐車の導入を急速に進めている。
2025年下半期のスタートとともに、BYDは再び業界の先頭に立ち、「自動駐車事故は私たちが責任を持つ」という明快なメッセージを投げかけた。他の自動車メーカーがこの動きにどう応じるか、注目される。