スイスで開催された「2025年AIによる社会貢献国際サミット(AI for Good Global Summit)」において、バイドゥ(Baidu)関連の3つのAIプロジェクトが「AI for Good:Innovate for Impact Report」に選出された。これは国際電気通信連合(ITU)とスイス政府の共催により、数十の国連機関が支援するグローバルなAI会議で、AI技術を活用した社会課題解決の最先端事例を表彰する場となっている。
今回表彰された一つ目のプロジェクトは、自動運転サービス「Apollo Go」における視覚障がい者向けの無障がい支援機能だ。Bluetoothによる車両の自動解錠、音声操作によるドアの開閉や走行指示、さらには走行中のマッサージ機能・空調・音楽制御まで、音声で操作できる包括的なユーザー体験を提供。目的地到着時には、後方車両の接近などを音声で通知し、安全な下車をサポートする。
次に表彰されたのが、バイドゥスマートクラウドが開発したAI手話デジタルヒューマン「曦霊(Xiling)」。このプラットフォームは、テキスト・映像・リアルタイム音声を手話に変換する5つの機能を備えており、テレビ・アプリ・ウェブサイトなど各種メディアに組み込み可能。バイドゥ独自のニューラルネットワークによる翻訳モデルにより、自然な語順・長さで聴覚障がい者に最適化された手話表現を生成する。
三つ目のプロジェクトは、「Endangered Species AI Guardian(瀕危物種AI守護官)」だ。これはPaddlePaddleを基盤とし、国際愛護動物基金会(IFAW)とバイドゥが共同開発したもので、野生動物の違法取引に関する画像をAIで検出するツールである。2024年にはバージョン2.0が公開され、認識精度は86%に向上。34種の希少動物およびその製品をカバーし、新たにカメ類20種とインコ類4種にも対応。象牙、穿山甲の鱗、高鼻羚羊の角など10種の製品も高精度で識別できるようになった。
2025年6月までに、Endangered Species AI Guardianは約41万枚の画像を分析し、3.3万件超の違法取引対象を特定。1.3万件以上の不正広告削除を後押ししている。
バイドゥは今後もAIによる社会的インパクト拡大を掲げ、包摂的かつ持続可能な技術活用の道を模索し続ける方針を示している。