南洋理工大学(Nanyang Technological University, NTU)の研究チームは、3Dメッシュ再構成における高忠実度かつ高効率な生成を実現する統合フレームワーク「Sparc3D」を発表した。本手法は、従来の密なボリューム表現による非効率性や、VAEによるモダリティの不一致といった課題を克服し、細部まで再現可能な3D生成技術として注目を集めている。
Sparc3Dは、スパースな立方体表現「Sparcubes」と、稀疏畳み込みベースのVAE「Sparconv-VAE」の2要素から構成される。Sparcubesは、符号付き距離関数(SDF)と変形場(deformation fields)をスパースなボクセルに投影し、元の非構造メッシュを高解像度(1024³)の水密表面へと変換。これにより、任意トポロジーを保持したまま微分可能な再構成が可能となった。
一方、Sparconv-VAEは、スパース畳み込みと局所注意機構(Point Transformer V3ベース)を用いた初の完全スパース構造のVAEであり、モダリティ一貫性を保ちつつ潜在拡散による高忠実度な3D生成を実現する。特に、従来型のVAEと比べて、構造の連続性や幾何形状の精密性において明確な優位性が実験で示された。
論文では、Sparc3Dを用いた再構成が、Trellisをはじめとする既存手法よりも高精度かつ詳細な形状表現を可能にすることが示されている。特に、開放表面や不連続構造、複雑なトポロジーといった難易度の高いデータでも、優れた整合性と復元性能を発揮している。
また、学術的な新規性に加えて、実装効率や計算資源の最適化にも配慮されており、Sparc3Dは既存の拡散モデルとの統合にも適している。これにより、AR/VR、ロボティクス、3Dプリンティングといった応用分野での実装が現実味を帯びてきた。